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2012年05月15日 11:00
プレスリリース研究・リサーチ・CSR
酵素分解牡蠣ペプチドが疲労に対し有効である事を見出しました
【概 要】
ノエビアグループの常盤薬品工業株式会社(東京都中央区、社長:中野 正隆)は、長崎県立大大学院・人間健康科学研究科(田中 一成 教授)と、共同研究を行っております。
これまでの共同研究において、肝障害※1および脂質代謝に、酵素分解牡蠣ペプチド※2が及ぼす影響について研究し、急性肝障害や慢性肝障害に対して抑制効果のあることや、中性脂肪低減効果のあることを見出してきました(第63回、第64回、第65回の『日本栄養・食糧学会大会』で発表)。
今回は、現代社会に広く蔓延し問題視されている“疲労”に対して酵素分解牡蠣ペプチドの及ぼす影響について研究を行いました。その結果、酵素分解牡蠣ペプチドは、優れた抗疲労作用をもたらす事を見出しました。
この研究成果は、2012年5月18日 (金)〜20日(日)『第66回 日本栄養・食糧学会大会』(仙台・東北大学)にて発表致します。演題名 『酵素分解牡蠣ペプチドのマウス抗疲労効果』
※1 肝障害
急性肝炎および慢性肝障害が知られています。一般的な症状としては、全身倦怠感、食欲不振、黄疸などであり、
肝臓病の中で一番多いのが慢性肝炎で、一部は肝硬変へ進むことがあります。
※2 酵素分解牡蠣ペプチド
酵素とは主に腸内で食べ物を消化・分解してくれる大切な物質の事です。酵素分解牡蠣ペプチドは、生牡蠣に含まれ
ているタンパク質(高分子)を酵素分解することによって低分子化した、吸収に優れた牡蠣ペプチド素材です。
【試験方法】
広島県産生牡蠣から得られた酵素分解牡蠣ペプチドを試験に用い、疲労を誘発したモデルの自発運動量※3や血液中抗酸化能※4を測定しました。
自発運動量を測る試験方法として、検体は1群4〜9匹として3群に分け、疲労誘発なし群(A群)、疲労誘発あり群(B群)、疲労誘発あり+酵素分解牡蠣ペプチド投与群(C群)を設けました。設定した5日間の疲労誘発※5後、250mg/Kgの割合で酵素分解牡蠣ペプチドを検体に経口投与しました。検体投与直後より行動解析装置※6を用いて測定しました。
また、血液中抗酸化能の測定は、検体を1群6〜9匹として3群に分け、疲労誘発なし(a群)、疲労誘発あり(b群)、疲労誘発あり+酵素分解牡蠣ペプチド投与(c群)を設けました。3日間の疲労誘発状態で飼育する中で、毎日500mg/Kgの割合で酵素分解牡蠣ペプチドを経口投与しました。その血液中の酸化ストレス度※7の測定を行いました。
※3 自発運動量
疲れの強度測定に利用されます。ある場面において動物が示す自発的な行動を言います。
※4 抗酸化能
抗酸化力の意味、体内で発生する活性酸素を消去するのが抗酸化物質です。ビタミンCなどは抗酸化の代表的な成分の
1つである事が知られています。
※5 疲労誘発
疲労は、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた心身の活動能力・能率の減退状態であると定義
されています。疲労誘発としては、疲労緩和をもたらす食素材等の評価に使用されている水浸断眠負荷モデルを用い
ました。
※6 行動解析装置
高密度に配置した赤外線センサーを用いてマウスの行動を解析する装置です。
※7 酸化ストレス度
活性酸素の発生量が増したり、消去する力が落ちている程度を表し、いわゆる「生体のサビ」の進みやすさにあたり
ます。
注:独立行政法人・理化学研究所・分子イメージング科学研究センター・細胞機能イメージング研究チーム
(片岡洋祐チームリーダー)のアドバイスの下で試験を実施しました。
【試験結果】
疲労の評価として用いた自発運動量は、疲労誘発あり群(B群)と比べ、酵素分解牡蠣ペプチド投与群(C群)は有意(p<0.05)に運動量が増加しました(図1)。
また、血液中酸化度からも酵素分解牡蠣ペプチド投与群(c群)は、疲労誘発あり群(b群)と比べ酸化ストレス度を有意(p<0.05)に減少させました(図2)。
これらの結果より、酵素分解牡蠣ペプチドは、抗疲労に対し有望な新素材である事が示唆されました。
(図1) 疲労誘発後に酵素分解牡蠣ペプチドを投与した際の自発運動量
(図2) 疲労誘発後に酵素分解牡蠣ペプチドを投与した際の血液酸化ストレス度