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Home プレゼン前4つのオキテ "プレゼンのプロ"インタビューVol.3 佐藤 尚之 (さとう・なおゆき)氏

2011.04

プレゼン前4つのオキテ

先駆者3氏の4つのオキテは?

Vol.3 「プレゼン=等身大の自分」の時代がやってくる 株式会社電通 クリエイティブ・ディレクター 佐藤 尚之 (さとう・なおゆき)氏

Profile

佐藤尚之(さとう・なおゆき)1961年生まれ。1985年、電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・プランナーなどを経て、現在はコミュニケーション・デザインを主たる領域とするクリエイティブ・ディレクター。2010年より、生活者視点の次世代ソリューションを考察・実行する「サトナオ・オープン・ラボ」を主宰。JIAAグランプリ、新聞広告賞グランプリ、広告電通賞金賞、ACC賞など受賞多数。著書に「明日の広告」(アスキー・メディアワークス)。2011年独立。

「プレゼン前のオキテ」インタビューも最終回。第3回にお話を伺うのは、広告人としてもネットの住民としても有名な佐藤尚之さんです。電通でクリエイティブ・ディレクターを務め、「NECショートフィルム『it』」「スラムダンク1億冊感謝キャンペーン」をはじめ、数々の広告キャンペーンを成功に導いてきました。そんな佐藤さんのプレゼンテーションのコツとは?「佐藤流・プロのプレゼン」に迫ります。

相手にとって、「いかに伝わりやすくするか」だけを考える

――
佐藤さんは、広告業界に身を置いて今年で25年になりますね。そのあいだ、プレゼンをする機会は数えきれないほどあったと思います。プレゼンでもっとも気をつけていることは何ですか?
佐藤

どうすれば、相手にとって伝わりやすいのか、理解しやすいのかだけですね。プレゼンは、相手がわかりやすい言葉で、平易でスッと頭の中に入っていくようなものであるべきだと思ってます。

もしプレゼンに通ったら、そこから相手と長いつきあいになります。だからハッタリや(その場での勢いででてしまう)嘘もいけません。いくら自分を大きく見せようとしても、いずれバレます。「この辺りはこういう問題もあるし、できない可能性もあります。でも、一緒に成功させていきましょう」みたいな正直さが求められると考えています。クライアントと我々が、受発注という立場でなくお互いに当事者として取り組むためにも、等身大の自分で対峙することが大事だと思います。

――
ぶしつけな質問ですが、プレゼンが得意か不得意かでいうと、佐藤さんはどちらですか?
佐藤
いや、もう人生最大の不得意分野ですよ。口下手だし、あがり症だし......。昨年は講演を150回以上したのでさすがに少しは慣れて、うまくなってきましたが、それでもまだ苦手意識は抜けないですね。アドリブや笑いを取ることも不得意なので、事前にしっかりシナリオを作って、相手に伝える努力をしなければいけない。1時間話すなら、資料作りだけで20時間はかけてるんじゃないかなぁ。

資料の完成度は、資料が独り歩きしても同じ内容が伝わるかどうか

――
プレゼン準備はかなり入念に行うのですね。資料作りでは、どんなことに気をつけているのでしょう?
佐藤

相手に伝わりやすくすることを最優先させます。企画について考えていたことをどう絞り込み、どう構成すればいいか。相手の理解度がいかに上がるのか。言葉や表現も、プレゼンする相手の年齢層や属性に合わせて選びますし、専門用語も必要以上に使わないようにしています。その相手のためだけに作るので、同じ資料を二度使うことはありません。

資料の最終的な仕上げは、当日の朝にやります。僕は朝起きたときに、ずっと考えていたことの答えが出ることがよくあるんですよ。ですから、前の晩に作ってあった資料を早朝にブラッシュアップして、完成度を最大限まで高めます。

――
「資料の完成度」とは、どのようなことを指すのですか?
佐藤
資料が独り歩きしても、大丈夫な状態にするということです。たとえば、僕が部長にプレゼンしたら、今度はその部長が役員にプレゼンすることもあるでしょう。そのときに、こちらの言いたいことが正確に伝わらないとすごく困る。だから、その資料を読めばすべてわかるようにしておくんです。ハンコをいっぱいもらわないといけないタイプの企業に関しては、資料が200枚ぐらいになることもあります。40分のプレゼンでも120枚は普通です。
というか、僕は1ページに1ワードぐらいしか書かなかったりします。だから長くなりがちなんですね。1ページ1ページはできるだけシンプルに、文字数も色も少なく、表もなるべく使いません。人間の頭って、一瞬でそんなにたくさんの情報を処理できないと思うんです。ただ、資料が独り歩きしてもいいように、ページの下に説明をきちんとつけておくこともあります。

プレゼン資料で大切なのは、伝えたいことの絞り込み

――
40分で120枚というと、1枚約20秒ですよね。実際のプレゼンは紙芝居のようなイメージなのでしょうか?
佐藤

そうですね、完璧に紙芝居です。ただ、長い紙芝居だから、相手を飽きさせないストーリー作りをしないといけない。これは難しいですが、本をたくさん読んだり書いたりするうちにだんだんできるようになってきました。

もう一つ肝心なのは、自分の伝えたいことが100あったら、それを相手の身になって3~5個ぐらいまでどうやって絞り込むか。伝えたいことを絞って整理することも、プレゼンの役割だと僕は考えています。

――
ただ、その絞り込みはとても難易度が高いように思えます。佐藤さんはどうやってそのテクニックを身につけたのでしょう?
佐藤

自分がコピーライターだったというのも大きいんでしょうね。コピーライターって、すごく多くの情報から伝えるべきことを絞り込んで絞り込んで、相手に伝えていく職業ですから。昔から、マーケティングの人が作るプレゼン資料が嫌いだったんですよ。情報量が多すぎて、何が言いたいのかすごくわかりづらくて。だから、自分が資料を作る場合は、相手がわかりやすいようにと意識しています。

CMプランナーやコピーライターの書いた本を参考にすれば、ポイントを絞り込むテクニックを学べると思います。谷口雅計さんの「広告コピーってこう書くんだ!読本」とか。実際、コピーライターってプレゼンや企画書作りの上手い人が多いですよ。

――
なるほど! ちなみにプレゼン当日には、ゲン担ぎのようなことはされますか?
佐藤

明るい下着をつけます。美輪明宏さんが「赤い下着をつけると血の巡りが良くなる」と言っていたので、半信半疑で始めたのがきっかけです(笑)。それから気分が晴れやかになるように、いい色合いのシャツを着ます。そして、プレゼンに限らず大事な仕事のときは、「310」というアメリカのメーカーの靴を履きますね。この靴を履くと、比較的良い結果が生まれることが多いんで。ほら、「310」って「さとう」とも読めるじゃない(笑)。

あと、口が臭いと自分で気になるんで、歯磨きをしたり口をゆすいだりしてからプレゼンに臨みます。口が臭いんじゃないかっていう自分の思いが、口を小さくするんですよ。ただでさえしゃべるのが不得意なのに、息を前に吐かなくなって、小さな声でモゴモゴ話すようになっちゃうから。

――
かなり細かなところまで気にされているんですね。ちょっと意外でした。
佐藤
プレゼン直前にもすることはありますよ。本番であがらないために、直近の過去で一番きつかったプレゼンを必ず思い出すんです。「あれに比べれば、今日なんか全然大したことないや」と自分の気持ちを落ち着かせて、ゆっくりと話し始めます。プレゼン中もずっと、早口にならないように気をつけていますね。ほかには、なるべく全員の顔を見るようにするぐらいかな。

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