• ジブンゴトについて
  • お問い合わせ

Home 咳止めだけじゃない!万能の植物、"南天"のチカラ

2011.06

厄除けからお赤飯、寝苦しい夜のお供にも。咳止めだけじゃない!万能の植物、“南天”のチカラ

咳止めに有効な生薬として、古くから日本人に親しまれてきた、南天の実。名前だけではピンとこなくとも、雪うさぎの目や、門松の彩りとして使われる赤い実、といえば思い浮かぶ人が多いのでは?この小さな南天の実、実は咳止めや飾り以外にも、さまざまなシーンで日本人の生活を支えてきた「万能の植物」なんです。目からウロコの南天チカラ、ご紹介します!

南天実の咳止め効果、本物だって知ってた?

南天は、平安時代に中国から渡ってきた植物。以来、さまざまな形で日本人に用いられてきました。江戸時代の文献「松屋筆記」には、「南天実(南天の実を乾燥させたもの)を砂糖と混ぜて煎じて飲めば咳に効果がある」という内容が記され、古くから生薬として利用されてきたことがうかがえます。

先人は経験から、南天実に殺菌・咳止め効果があると考えたわけですが、近年、これは科学的に証明されています。その秘密の一つが、南天実に含まれる「ナンテニン(O-メチルドメスチシン)」という成分。この成分は口腔や胃腸から吸収され、気管の筋肉と咳中枢に作用して咳を鎮め、殺菌・鎮静作用でのどの炎症と痛みを和らげます。「ヒゲナミン」という成分もまた、気管の筋肉収縮を抑え、気管を拡張して咳をラクにしてくれます。

現在では、南天実の成分は厚生労働省から医薬品の有効成分として定められるものとなりました。南天=咳止めは、迷信ではなく"本当に効く薬"だったのです!

南天は、最強のラッキーアイテム!?

日本ではナンテンが「難転」~難を転じて福となす~に通じることから、縁起木として愛されてきました。

戦国時代には、武士の鎧びつ(鎧を入れておくふた付きの箱)に南天の葉を収め、出陣の折りには枝を床にさし、勝利を祈ったとか。正月の掛け軸には、水仙と南天を描いた「天仙図」が縁起物として好まれたそうです。

さらに江戸時代には、当時の百科事典『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』に、「南天を庭に植えれば火災を避けられる。とても効き目がある(現代語訳)」と記述されるほど、重宝される植物に。多くの家に「火災よけ」「悪魔よけ」として植えられるようになりました。

今も各地の庭先で南天が見られるのは、こうした風習のなごりなんですね。

夢見の悪そうな夜は、枕の下に南天を

中国には「邯鄲(かんたん)の枕」という故事があります。

盧生(ろせい)という青年が邯鄲(かんたん)という町で枕を借りて眠ると、次第に出世して栄華を極めた人生を送る。ところが目覚めてみると炊きかけの粟も炊き上がっていないわずかな時間だった...。

人生のはかなさをたとえる有名な故事ですが、この「邯鄲の枕」は南天の材で作られていたそう。日本でも悪い夢を見たら床に南天を活けると悪夢が消え、枕の下に南天の葉を敷くと悪い夢を見ないという言い伝えが残っています。

今も南天の図柄をデザインした手ぬぐいや枕カバーが売られているのは、この故事が大切にされているからかもしれません。

お赤飯に飾ってあるアレ、実は南天の葉!

慶事の際に食べるお赤飯に、南天の葉を添えるのをご存知? そう、お赤飯の上に茎ごと飾られているアノ植物、実は南天なのです。

井原西鶴の作品には「大きな重箱に南天を敷き、赤飯をたくさんつめて...(現代語訳)」という記述があり、江戸時代にも赤飯と南天の葉がセットで用いられていたことがうかがえます。当時は病気が全快した時には「難を転じて」助かった幸運の印として南天の葉を表向きに添え、逆の場合は裏向きにして不幸にならないようにと願ったとか。

今もこの習慣が続いているのは、厄よけだけが理由ではありません。南天の葉には「ナンニジン」という成分が含まれており、お赤飯の熱と水分により「チアン水素」を発生させます。このチアン水素にお赤飯の腐敗を抑える作用があるのです。

お赤飯に南天の葉。先人の知恵がつまった、日本ならではの習慣ですね。

お手洗いとも相性◎。用を足したら南天で...

昔の家のお手洗い(厠)は家の外にあるのが普通で、その周りには必ずといっていいほど南天の木が植えられていました。これは「南天手水(ちょうず)」と称して、水がないときに南天の葉で手を清めるため。

もう一つは、お年寄りがお手洗いで転んだり、倒れたりすることが多かったため、「南天の木につかまる」(難を転ずる)ことが目的でした。「不浄よけ」と「生活の知恵」の両方が備わっていたというワケです。

ちょっと不潔(!)にも思えるお手洗いと南天の関係ですが、現代では、南天の茎や枝には、抗菌力のある「ベルベリン」(アルカロイドの一種)が含まれていることが医学的に証明されているんですよ。

日本だけじゃない!南天の人気はワールドワイド

南天の西欧での花言葉は、『私の愛は増すばかり』。この他にも「機知に富む」「福をなす」「良い家庭」といった花言葉があり、贈答用の植物としても使われています。

とくにアメリカでは人気が高く、当初は一般家庭の庭木として植えられました。現在では東北部の諸州の森林に野生化し、赤い実をたわわに実らせています。

ちなみに、南天の英名は、「sacred bamboo~聖なる竹」、「Heavenly bamboo ~天国の竹」と、なんとも神秘的! 日本で古くから親しまれている南天は、世界各地でも愛されているんですね。

今回ご紹介した南天のチカラはまだまだ初級編。様々な視点から南天を考え・研究する島「南天研究所」では、よりディープな南天の魅力や、南天の育て方(!)までご紹介しています。ぜひ、  南天のチカラをご堪能ください!
「南天研究所」を詳しく見る


PAGE TOP


  • Webサイトのご利用にあたって
  • ソーシャルメディアのご利用にあたって
  • プライバシーポリシー